VPNサーバーとは？種類と構築方法を解説

オフィス外で仕事をする機会が増えた昨今、VPNサーバーの需要が増えています。

しかしVPNサーバーについてよく分からない、構築方法や種類について知りたいとお困りの人もいるのではないでしょうか。

この記事ではVPNサーバーとは何か、VPNサーバーの構築方法や種類について詳しく解説します。

VPNサーバーとは

VPNサーバーとは、VPN接続に必要なソフトウェアや機器のことです。暗号化などの機能で情報を保護するVPNを利用するには、VPNサーバーの構築が必要となります。

VPNサーバーに接続すると、自宅や外出先からオフィスのコンピューターにアクセスできるので柔軟な働き方が可能です。
さらに公衆のインターネット回線を利用しても情報が見えないように保護するので、セキュリティ強化にも繋がります。

現在は専用線よりコストや手間がかからない、インターネット回線を利用したVPNが普及しています。

VPNサーバーの種類と適正

VPNサーバーの種類と適正を以下に分けて詳しく解説します。

1つずつ見ていきましょう。

インターネットVPNの特徴

インターネットVPNはインターネット環境さえあればサービス事業者と契約せずに利用できるため、VPNサーバーの構築にかかるコストが抑えられます。

サーバーの構築がIP-VPNより簡単にできるため、導入のハードルが低いのも特徴です。

しかし不特定多数が利用するインターネット回線を使うので、外部から攻撃を受けるリスクは高くなります。

また回線が混雑すると通信速度が低下する可能性があるのもデメリットです。

IP-VPNの特徴

IP-VPNはサイバー攻撃のリスクが低く、セキュリティ強度の高いVPNサーバー構築が可能です。

サービス事業者が提供する専用のネットワークを利用するため、特定の人しかアクセスできないので安全性が高くなります。

また通信速度がインターネットVPNより安定しているのがメリットです。

しかし事業者と提供する必要があることやサーバー構築に専門的な知識が必要になることなど、導入に手間やコストがかかるのがデメリットになります。

VPNサーバーは自社・自宅で構築（自作）することも可能

VPNサーバーは自社・自宅で構築（自作）することも可能で、以下の方法を選択できます。

以下で詳しく解説します。

ハードウェアVPNルーターを購入して構築する方法

VPNサーバーを自社・自宅で構築（自作）するには、ハードウェアVPNルーターを購入して構築する方法があります。

手順は以下の通りです。

VPN接続手順	解説
①ハードウェアVPNルーターを購入	オフィスの規模や扱う情報によって適切なルーターは変わるので、商品を比較した方が良い
②インターネット回線にルーターを接続	説明書に従って設定
③VPNサーバーを設定
④VPNクライアントを設定	OSによって設定方法が異なる
⑤VPN接続	一般的な手順はVPNサーバーのIPアドレスと認証情報を入力

以上がハードウェアVPNサーバーを構築する方法の手順となります。

ソフトウェアVPNサーバーを構築する方法

VPNサーバーを自社・自宅で構築（自作）するには、ソフトウェアVPNサーバーを構築する方法も挙げられます。

以下は一般的な設定方法の手順です。

VPN接続手順	解説
①VPNサーバーソフトウェアの選択	OpenVPN、SoftEtherVPN、WireGuardなどのVPNサーバーソフトウェアを選ぶ
②サーバーのセットアップ	VPNサーバーソフトウェアに従いセットアップをおこなう
③証明書の作成	オープンSSLなどのツールで作成可能
④ユーザーアカウントの作成	アカウント名とパスワードを設定
⑤クライアントの設定	デバイスに搭載されていない場合、クライアントソフトのインストールが必要
⑥VPNサーバーに接続	一般的な手順はVPNサーバーのIPアドレスと認証情報を入力

以上がソフトウェアVPNサーバーを構築する方法の手順となります。

VPNクラウドサービスを利用する方法

VPNサーバーを自社・自宅で構築（自作）するには、VPNクラウドサービスの利用も良いでしょう。

VPNクラウドサービスは決まった料金をサービス会社に支払い利用するサービスです。導入や管理が比較的簡単なので、設定や管理に自信がないためVPNの導入に踏み切れない人に向いています。

NordVPN、ExpressVPN、CyberGhost VPNなどが代表的なサービスですが、サービスを提供する事業者によって特徴が異なるので目的に沿ったサービスを選んでください。

無料のお試し期間を設けているVPN接続サービスであれば気軽に試せます。

VPNサーバーを構築するメリット

VPNサーバーを構築するメリットを以下の項目に分けて解説します。

1つずつ見ていきましょう。

VPNサーバーを構築するメリット①毎月のサービス利用料を抑えられる

VPNサーバーを構築するメリットは、毎月のサービス利用料を抑えられることです。

VPNサービスを提供する事業者と契約すると、毎月決まった額を支払う必要がありますが、自社（自作）で構築すればルーターの購入費と通信費しかコストがかかりません。

コストを抑えてVPNを活用したい場合は大きなメリットになるでしょう。

VPNサーバーを構築するメリット②好きなタイミングで手軽に設置できる

VPNサーバーを構築するメリットは、好きなタイミングで手軽に設置できる点も挙げられます。

VPNサーバーを自作した場合は、導入や設定を自分たちでおこなうので好きなタイミングで導入できます。

本格的にVPN接続を導入する前に試してみたい時に気軽に設置できるのがメリットです。

VPNサーバーを構築するメリット③プライバシー保護が可能

VPNサーバーを構築するメリットは、プライバシー保護が可能なことです。

VPN接続はデータを暗号化するので、第三者に見られたくない個人情報やプライバシーを守れます。

VPNサーバーを構築するメリット④セキュリティ強化できる

VPNサーバーを構築するメリットは、セキュリティを強化できる点が大きいでしょう。

特にカフェやホテルの公衆Wi-Fiの利用は、外部からデータを盗み見される、ハッキングなどのリスクがあります。

情報漏洩などのリスクを減らすために、VPN接続を活用すると安心です。

VPNサーバーを構築するメリット⑤地理的制限を回避できる

VPNサーバーを構築するメリットには、地理的制限を回避できることもあります。

インターネット上のサイトやコンテンツには、ジオブロック（地域制限）がかかっていることがありますが、海外のサーバーに接続すればジオブロックを解除してアクセスできます。

VPNサーバーを構築するメリット⑥匿名性の確保が可能

VPNサーバーを構築するメリットに匿名性の確保が可能なことも挙げられます。

VPN接続を活用するとIPアドレスを隠せるため、第三者にIPアドレスを悪用されたり、利用したサイトやコンテンツを監視されたりするのを防げます。

VPNサーバーを構築するメリット⑦ファイル共有の安全性が向上する

VPNサーバーを構築するメリットには、ファイル共有の安全性の向上もあります。

公衆Wi-Fiを利用してデータをやり取りすると、第三者に情報を盗み見されるなどのリスクがありますが、VPN接続を活用すると安全にやり取りできるようになります。

VPNサーバーを自社で構築するデメリット

VPNサーバーを自社で構築するデメリットを以下の項目に分けて詳しく解説します。

1つずつ見ていきましょう。

VPNサーバーを構築するデメリット①導入や管理が煩雑

VPNサーバーを自社で構築するデメリットに、導入や管理が煩雑なことが挙げられます。

VPN接続導入時の設定や維持管理（バグの解消や情報セキュリティ対策）を自分たちでおこなうので、専門的な知識が必要です。

またVPN接続でトラブルがあった場合も自分たちで解決しなくてはいけません。

VPNサーバーを構築するデメリット②接続台数に限りがある

VPNサーバーを自社で構築するデメリットは接続台数に限りがあることです。

ルーターによっては同時に接続できる台数が決まっているため、人数が多い部署の利用には向きません。
またテレワークなどで接続台数が増えた場合も対応が難しくなります。

VPNサーバーを構築するデメリット③情報漏洩のリスクがある

VPNサーバーを自社で構築するデメリットは、情報漏洩のリスクがあることです。VPN接続を活用したとしても、完全に情報漏洩のリスクをなくすことはできません。

情報漏洩の原因となるリスクには以下が挙げられます。

VPNサーバーを構築するデメリット④拠点数が多いと管理が煩雑

VPNサーバーを自社で構築するデメリットは、拠点数が多いと管理が煩雑なことです。

VPNサーバーを自社で構築すると管理も自分たちでおこなうことになり、トラブルが起こった時に対応が遅れるリスクもあります。

VPN接続の管理には専門知識が必要なので、拠点数が多いほど手間も人材もかかります。

【ケース別】おすすめVPNサーバー

【ケース別】おすすめVPNサーバーを以下に分けて紹介します。
求めるコストやセキュリティレベルに合わせて、導入する種類を検討してください。

コストを抑えるならインターネットVPN

VPNサーバー構築のコストを抑えるならインターネットVPNがおすすめです。

インターネット回線を利用するため、IP-VPNよりサーバー構築にかかる費用が抑えられます。

重要な情報は扱わないけれど安全性は確保したい場合や小規模でVPN接続を試してみたい場合などにおすすめです。

しかし共用のインターネット回線を利用するので、セキュリティ強度は高くありません。
そのため重要な情報を扱うなら避けた方が良いでしょう。

セキュリティレベルや管理の省力化を重視するならIP-VPN

VPNサーバー構築でセキュリティレベルや管理の省力化を重視するならIP-VPNの導入が良いでしょう。

IP-VPNはサービス事業者が提供する閉ざされたネットワークを利用するので、セキュリティ強度はインターネットVPNより高くなります。

またサービス事業者にサーバー構築や管理を任せられるので、手間が省けることもメリットです。

ただしインターネットVPNよりコストが高く、サーバー構築に時間がかかります。

VPNサーバー構築以外に合わせておこなうべきセキュリティ対策

VPNサーバー構築以外に合わせておこなうべきセキュリティ対策には、以下のことが挙げられます。

1つずつ詳しく解説します。

デバイスのコンピュータウイルス感染対策

VPNサーバー構築以外に合わせておこなうべきセキュリティ対策には、デバイスのコンピュータウイルス感染対策があります。

VPN接続はネットワーク上の情報を安全に保護する役割はありますが、コンピューター
ウィルスを排除する機能はありません。

VPN接続の導入で情報を保護しても接続するデバイスがウィルスに感染していれば、感染が拡大して情報漏洩などの被害が発生します。

二要素認証の導入

VPNサーバー構築以外に合わせておこなうべきセキュリティ対策には二要素認証も効果的です。

二要素認証であれば万が一IDやパスワードが外部に漏れてしまっても、第三者の不正アクセスを防げます。

従業員のセキュリティ意識の向上

VPNサーバー構築以外に合わせておこなうべきセキュリティ対策として、従業員のセキュリティ意識の向上も重要です。

VPN接続を導入したとしても従業員のセキュリティ意識が低いと以下のような事態が発生する可能性があります。

VPNと専用線の違い

VPNと専用線の違いは、かかるコストや導入・管理の手間、セキュリティ強度などです。

VPN接続と専用線の違いを以下の表で比較しました。

	VPN接続	専用線
コスト	・安い	・高い
セキュリティ強度	・高い	・とても高い
通信品質	・回線の影響を受ける可能性がある	・安定
管理	・サービス事業者に任せられる ・比較的簡単	・専門知識を持った人材が必要
導入までの時間や手間	・比較的早く手間がかからない	・導入までに時間と手間がかかる

コストを抑えたいなら専用線よりVPN接続がおすすめです。

VPN接続は専用線と比べてコストがかからず、無料で利用ができるサービスもあります。

しかしセキュリティ強度は専用線に劣るので、セキュリティ強度を高めたい場合は専用線を活用した方が良いでしょう。

通信速度はVPN接続はインターネット回線の混雑具合によって不安定になる場合がありますが、専用線は大容量の通信をおこなっても影響を受けません。

管理にかかる手間や専門知識を持った人材は、VPN接続より専用線の方が必要になります。

VPN接続は導入・管理をサービス事業者にまかせることができるので、専門知識がなくても利用できるのがメリットです。

またVPN接続の方が導入までの時間や手間がかからないので、専用線より手軽に導入ができます。

無料VPNサービスと有料VPNサービスの違い

無料VPNサービスと有料VPNサービスの違いを以下の項目に分けて詳しく解説します。

1つずつ見ていきましょう。

セキュリティ性

無料VPN接続サービスと有料VPN接続サービスの違いの一つにセキュリティ性があります。

無料のVPN接続サービスのセキュリティ強度は有料VPN接続サービスと比べると劣っていて、情報漏洩などのリスクが高くなります。

有料VPNサービスはマルウェアの検知やノーログポリシー、強度の高い暗号化などを提供しています。

そのため無料のVPN接続と比べて安全性が高くなっています。

通信速度

無料VPN接続サービスと有料VPN接続サービスの違いには通信速度もあります。

無料のVPN接続サービスは通信速度が遅いことが多く、音声通話やビデオ会議が途切れてしまう可能性も高いです。
一方で有料VPN接続サービスは安定した通信速度で利用できます。

また無料VPN接続サービスには通信制限がある場合がありますが、有料接続VPNサービスは制限がないサービスが多いです。

サーバー数と設置場所

無料VPN接続サービスと有料VPN接続サービスの違いには、サーバー数と設置場所も挙げられます。

無料のVPN接続サービスはサーバーの数や場所が限られていますが、有料のVPN接続サービスは世界中に多くのサーバーを展開しているので、さまざまな国や地域のサーバーに接続ができます。

カスタマーサポート

無料VPN接続サービスと有料VPN接続サービスの違いは、カスタマーサポートの有無もあります。

無料のVPN接続サービスはカスタマーサービスがない場合も多く、トラブルがあった時に迅速な対応が難しくなります。
一方で有料のVPN接続サービスはカスタマーサポートがあるので、トラブルがあっても安心です。

まとめ

この記事をまとめると以下の内容になります。

この記事ではVPNサーバーの種類や構築方法、VPNサーバーを構築するメリット・デメリットなどを解説しました。

VPNサーバーの構築を検討する際は、目的や予算に沿って選ぶことが重要です。大切な情報を守るために、ぜひVPNサーバーの導入を検討してみてください。